
クライアント様から、「自社でディレクションのうえ、外注ライターと組んでSEOライティングを行いたい。SEOを意識した記事を依頼する際の段取り・方法を教えてほしい」とのご相談をいただきました。
その方法を共有する際に「SEOライティング指示書(兼SEO指示書)」を作成し、ノウハウと手順を共有しましたので、こちらでもその内容をご共有させていただきます。
0. サイトとして狙うSEOキーワード調査。リストを作成しておく(事前準備)
まずはサイトとして、どんなキーワードをターゲットとするのか?を選定していく必要があります。
これは「キーワード調査」の段階。外注ライターにライティング指示を出す前に、サイトとしてどのようなキーワードを狙っていくのか?という「戦略」の部分は済ませておきましょう。
具体的には、サイトとして狙うSEOキーワードをリストの形で一覧作成しておくこと。
さて、ここから以下がSEO記事をライティング依頼する際の5段階マニュアルです。
目次
1.リストからSEOキーワードを選定
次に、作成済のキーワードリストの中から、作成する記事で狙うキーワードを選定します。
ここで大切な観点は「個別の記事単位でそのキーワードの検索意図を満たせそうか?」というもの。
検索意図をつかみやすい「スモールキーワード」から選ぶ
具体的には、ビッグキーワード〜ミドルキーワードはキーワードが抽象的なものになりやすく、検索意図が幅広いものになる傾向にあります。
そのため、月間検索数が小さい(ざっくり目安としては月間検索数が1,000以下など)スモールキーワードの中から、検索意図をつかみやすいキーワードを狙うと良いでしょう。
もしあなたが「(外注依頼する)最初の1記事」として選ぶとしたら、その中でも検索意図がはっきりしている「定義」、「疑問」系のキーワードを選ぶとやりやすいでしょう。
定義キーワードとは「〇〇 とは」「〇〇 意味」など、”What”を問うもの。
疑問キーワードとは「〇〇 どこで買う」「〇〇 方法」など。Whatを除く、5W1Hの
When, Where, Why, Who, Howを質問しているキーワードとなります。
検索意図がずれにくく、外注ライターとしても迷う部分が少なくなるはずです。
ビッグキーワード・ミドルキーワードは「ピラーページ」(扉・まとめページ)で狙う
では抽象度の高いビッグキーワードやミドルキーワードは狙わないのか?
いいえ、あくまで通常の個別記事ライティングの方法で狙わないだけです。
検索意図が幅広いビッグ〜ミドルキーワードは「ピラーページ」(扉ページ・まとめページ)を作成することで対応していきます。
リストからキーワードを選んでいく順番。検索意図・関連性
キーワードを選んでいく順番としては、記事品質コントロールの観点からいえば、先に述べた「検索意図が分かりやすいか」から選ぶと良いでしょう。
ただ、SEO効果の観点からいえば「既に書いた記事と関連するキーワード」を書いていくのがセオリー。
次に述べる内部リンク構築の観点からも、キーワードの関連性で追加していく記事を選んでいくことは大切です。
外注ライター・記事品質の管理に慣れてきたら「既存記事とのキーワード関連性」に応じて、関連性を広げていくイメージでキーワードを選んでいくと良いでしょう。
SEO効果を最大化させるため、記事内から関連記事に内部リンクを貼る
SEOでは内部リンク構築の重要性が唱えられています。
関連する記事には、記事コンテンツ部分から内部リンク(記事URL)を貼ることが大切。
(内部リンク設置のお作法については後半で述べます)
SEOにおける内部リンク構築の重要性、細かなポイントは 内部リンク最適化はSEO効果大。7つのポイントで重要記事を伝える | まほウェブ で記載しています。
2. 想定読者ターゲット選定と、検索意図の調査・指示出し、SEO記事依頼
検索意図の探り方。上位サイトを参考にする
まず、キーワードそのものから推察(定義・疑問・関連)する方法が1つ。
そのうえで、ブラウザのシークレットモードから、上位1〜10位の記事を目視で調査します。
上位記事に書かれていることから、「これらの記事はどのような検索意図を満たそうとしているのか?」を逆算します。
上位表示され評価されているコンテンツは、既にある程度の検索意図を満たしていると考えられるため。
さらに、上位記事のなかから3〜5記事程度を参考記事として、ライターへの指示出し時に提出します。
ライティング時のSEO指示出し。検索意図とキーワード指定
ライティング時のSEO指示出しとしては、基本的には検索意図を埋めること、h2にターゲットキーワードを含めることの2つのみでOK。
また、必要に応じて、仮タイトル・仮見出し・テキスト記述時の注意を記載して指示出しすると丁寧でしょう。
【 依頼概要のフォーマット例 】
キーワード: 〇〇 〇〇
※ 各見出し(h2のみでOK)に、「〇〇 〇〇」を含めてください。
想定字数: 2,000〜3,000字程度(例)
想定ターゲット: 40代女性。
「〇〇」という言葉のみと、なんとなくのイメージ知っている程度。
想定検索意図(下記検索意図に答える形でライティングをお願いします) :
〇〇とは?一般に「 〇〇」というとどんなものを思い浮かべるのか、どんなものを「〇〇」というのか。
〇〇にはどんなものがあるのか?(ほか記事との差別化ポイント)
写真はInstagramを埋め込む形でもOK。
写真を使い、〇〇についてコメントしていく形
今回参考URL一覧: (ここに参考URL一覧)
3. 依頼したSEO記事初稿が上がってきたら、品質・内容のチェック・差し戻し
外注ライターから記事初稿が上がってきたら、品質・内容のチェック・差し戻しを行います。
SEO記事品質のチェック項目
SEO記事品質チェックの項目としては
- 見出し(h2, 場合によってはh3)にキーワードが含まれているか
- 文字数は指示通りになっているか
- ほか記事からコピペされた内容でないか。(ここはSEO観点からも重要。コピペされた内容だとコピー・重複コンテンツとしてGoogleからペナルティを受ける可能性があります)
- 検索意図を満たす内容となっているか
- タイトルはクリックを誘うものとなっているか
など。
読み物の観点から、読みやすいか?webライティング品質もチェック
SEO記事品質のチェックとしては以上ですが、そもそも読み物として読みやすいか、というライティングの問題もあります。
たとえば表記揺れや繰り返し表現、「こそあど」指示語の多用などがされていないかをチェックすると尚良いでしょう。
webライティングで注意すべき5つのチェックポイント(添削からルール化) | まほウェブ で出版社の雑誌編集者の方からのフィードバックをまとめていますので、ライティング品質チェック・添削の際の参考にしてください。
SEO記事の差し戻しや記事品質チェックの際には、Google Documentsの「提案モード」を活用しています。
提案モードで修正作業を行うと、変更箇所と過去の履歴を残したまま、原文を書いた方へコメントを渡すことができます
Googleドキュメント「提案モード」の活用法 作業を大きく効率化できる – OTONA LIFE | オトナライフ – OTONA LIFE | オトナライフ
Googleドキュメント『編集・提案・閲覧』の3つのモードの使い方|KACOO[カコー]
引用・参考した情報の出典元が記載されているか
情報の出典元は明記することが原則です。
ソース源(一次情報)はどこからなのか?を記載しておくことは、その記事の「信頼性」に繋がります。
(次に述べる「E-A-T」要素のうちのT : Trustworthiness(信頼性)にとっても大切な部分です)
引用する場合のマナーと引用先への外部リンクについて
引用の場合は
- 引用した箇所をBackquoteタグなどで範囲を明記
- 引用元の名称と、箇所(本ならページ数、webでも長文なら見出しなどで箇所を明記)
- URLはジャンプできる形で記載。URL飲みの記載でなく、リンク先タイトルのテキストアンカーリンク形式で
引用先のURLの扱いについては様々な意見がありますが、私は「読者・ユーザーの利便性を第一に」でいいと思います。
引用先に飛べなかったり、引用先のタイトルがわからなければ、読者として出典元が何なのかを知るのにひと手間かかってしまいます。
外部リンクも内部リンクと同様、リンク先タイトルにテキストアンカーリンクを貼る形で記載する方法が良いでしょう。
引用元・参考元を含め、外部リンクにはrel=”nofollow”でノーフォロー属性をつけるべきか?
テクニカルなSEO施策として、「外部リンクには全てrel=”noffolow”でノーフォロー属性をつける」というものがあります。
nofollow属性をつけることで、リンクジュースを外部に漏らさず、自サイトにドメインパワーを留めることが出来る、というものです。
しかし、そもそもnofollow属性は「関連性のないリンク、有料広告リンク、有害なリンク」に貼るものとされています。
(有料広告リンクは新しい属性として rel=”sponsored” が追加されました。ユーザー追加コンテンツには rel=”ugc” という属性もあります。詳細はSearch Consoleの記事(英語)より。
nofollowについての参考記事: リンクのnofollow属性 – どのような属性か、いつどのように使うのか | デジタルマーケティングブログ
引用元や参考リンクなどは、記事本文と関連性が高いURLです。これらの記事を参考にしているにも関わらず、rel=”noffolow”属性をつけ故意に関連性を否定しようとすることは、nofollow属性の意図に反します。
また、最近ではnofollow属性はあくまでクローラーがシグナルとして「参考」にしているだけで、場合によってはリンクジュースを渡す場合もあるとのこと。
従って、引用元・参考元とした外部サイトは、通常通りのfollowリンクを貼ればよいでしょう。
その他、外部リンクについてのSEOについては 外部リンクはSEOでマイナス?リンクジュースとnofollow属性の使い方 | まほウェブ の記事でまとめています。
こちらも参考にしてください。
4. SEOの「E-A-T」観点からも重要。監修を依頼しよう
E-A-TというSEO指標とは
昨今GoogleはE-A-Tと呼ばれる指標を重視するようになりました。
E-A-Tとは、それぞれ
・Expertise(専門性)
・Authority(権威性)
・Trustworthiness(信頼性)
のことを指します。
外部リンクはSEOでマイナス?リンクジュースとnofollow属性の使い方 | まほウェブ の記事で書いたとおり、最近のSEOではE-A-Tと呼ばれる指標が重視されています。
Authority(権威性)を高める方法
このうちAuthority(権威性)を高める方法としては、下記2つの記事でそれぞれ方法をご紹介しています。
著者情報はSEOに有効!外部評判のため構造化マークアップで記述すべし | まほウェブ では、著者情報を構造化マークアップで記載する方法を。
そして【書評】情報サイトでオーソリティーを目指そう!│ SEOの観点から | まほウェブ では、「サイトそのもの」に権威性をもたせる方法をご紹介しています。
E-A-Tすべてを一括で高める方法が「有名な専門家に監修依頼すること」
しかし、E-A-Tを全て一括で高める効果的な方法があります。
それは、「有名な専門家に監修をしてもらう」こと。
ライター自身が専門家でない場合、サイトそのものにまだ専門性・権威性がない場合に非常に有効な方法です。
監修してもらった記事は、監修者の氏名・プロフィールをサイトに掲載するようにしましょう。監修者について記事に記載することで、その記事に監修者を通じてE-A-Tを持たせることが可能です。
また、監修者の情報は構造化マークアップ(ReviewedBy 属性)の形で記載しておくようにしましょう。
5. SEO記事を入稿。内部リンク構築と画像alt属性の注意
記事内部リンクを構築(SEOとして重要な部分)
内部リンク設置3つのお作法
参考: 内部リンク最適化はSEO効果大。7つのポイントで重要記事を伝える | まほウェブ
1: 関連する記事への内部リンクを記事内に設置
関連性の薄い記事へはリンクを設置しない
相互に内部リンクする形でOK
2: 関連するテキスト部分に、関連先の内部リンクを設置
NG ) 文末に内部リンクをまとめて設置
内部リンク周辺に、内部リンク先の説明書きがあると尚良し
例) 「〇〇〇〇」については以下の記事でも解説をしています。[リンク]
3: 基本的にはタイトルをアンカーリンクテキストとして設置
NG例 ) ” 記事はこちら” などの指示語でのリンク設置(SEO効果減)
WordPressでは、URL貼り付けでブログカード形式で動的に内部リンクが表示
WordPressの場合、ビジュアルエディタから自サイトURLをそのまま貼り付けると、ブログカードとして生成される。このカード形式でもOK。
カード形式のメリットとして、タイトルが動的に生成されることがある。リンク先のタイトルが変わっても、URLが変わらなければ変更反映される。
カード形式のデメリットとしては、クリック率が下がることと言われています。
(SEOとして直接の影響はないが、回遊率が落ちるためPVは低下)
解決策としては、テキストアンカーリンクとカード形式の両方を載せる方法が良いでしょう。
そうなのか…!これは目から鱗。そしてアンカーテキストリンクとブログカードの両方を設置すると良さそう、との意見も https://t.co/Lc2WQhzOiW
— Nakata@まほウェブ (@Mktg_Wizard) September 27, 2020
ピラーページ(まとめページ)を作成する場合
ピラーページ(まとめページ)の場合は、関連記事の内部リンクを多数設置することになります。
ピラーページ作成の注意としては、まとめページ単体で読み物として成立するようライティングすること。
画像入稿時のSEO注意。alt属性をつけアクセシビリティを高める
画像にはalt属性をつける
- ただし、修飾目的の画像にはつけなくてOK
- 可能なら、altにターゲットキーワードを含める
- altは短く記述。長文はNG
そもそもalt属性はSEOのための属性ではなく、「アクセシビリティ」のための属性です。
音声読み上げの際にaltテキストを読み上げさせたり、画像を表示できないデバイスの際にaltテキストを表示させるためのもの。
究極のSEOは「ユーザーのためを考える」なので、ユーザビリティを優先し、アクセシビリティの観点からalt属性をつけるようにしましょう。
Instagramリンクは” Embed “でテキストモードから記載
” Copy Link “や投稿URLを直接ペーストするのではなく、” Embed ” (埋め込み)ボタンから埋め込むようにしましょう。表示に不具合が出ることを避けることができます。
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