Twitterで「情報サイトでオーソリティーを目指そう!」がSEOの書籍としてオススメらしい…! という内容を目にして、早速読んでみました。
情報サイトでオーソリティーを目指そう!: 10年先も生き残る安定志向のサイト構築論 | a-ki | 工学 | Kindleストア | Amazon
Kindleアンリミテッドに加入している方は、無料で読めますのでぜひ読んでみてください。
概要としては
- 人ではなく、サイトそのものに「権威性」を持たせる
- 日々の更新作業が不要な「完結型」(あるいはツール型)のサイト作りを目指す
がおおよその概要です。
それでは内容をまとめながら、書評としてSEOの観点を交えてコメントをしていきたいと思います。
目次
オーソリティーとは?「サイトに権威性をもたせる」を目標とする
昨今、SEOではオーソリティー(権威性)が大切になってきていると言われます。
Googleが外部業者向けた、サイトの品質チェックリストには「E-A-T」という基準が存在しています。E-A-Tとは、それぞれの頭文字で意味をなしており
- Expertise(専門性)
- Authority(権威性)
- Trustworthiness(信頼性)
というこれらの3つの基準から、サイトの品質をチェックするようにというGoogleの品質基準ベンチマークです。
この中のAuthorityが、今回の「情報サイトでオーソリティーを目指そう!」で重視されている点。
ただ、SEO上のAuthorityでは「誰が言ったか」「どこが運営しているサイトか」ということを指します。つまり、運営者であったり、運営元(の会社)を通常意味します。
「この人が言っているから大丈夫そうだ」「この会社の情報だから間違いない」など、「権威」による内容の担保・サイト品質の担保ということになります。
しかし、本書ではこの信頼性をサイトそのものに持たせることを目標とするもの。
具体的にいうと、「特定のテーマで、〇〇と言えばあのサイト」と呼ばれる存在になりましょう、と提唱しています。
果たしてそんなことができるのでしょうか?本書では、以下の方法でオーソリティーサイト・サイトに権威性を持たせることができると述べています。
ストック情報とフロー情報を区別。ストック情報による「完結型」サイトを目指す
個人運営でできる3つのサイトパターン。「完結型」「ツール型」サイトを目指す
本書によると、個人運営でできるサイトのパターンは以下の3つ。
- ブログ型
- 完結型
- ツール型
1番のブログ型は、日々の更新を行う通常のブログ形式。2番目の完結型については、あまり更新を行わないコーポレートサイトのようなもの、といったん理解すれば良いでしょう。
(3番目のツール型については後述)
まず目指すべき2番目の完結型について、本書の定義では以下のようになっています。
完結型というのは「予め扱う情報の範囲が任意に決められていて、その範囲内で情報が網羅される」コンテンツを言います。ちょっと回りくどい言い方ですが、要するに「完成形が想定されている」ということですね。 ブログ型とちがって完結型では継続的な記事の追加は必ずしも前提としません。
具体的にはカテゴリーを分け、記事タイトルも書き出し、ある程度目次を完成してから記事を書き始めるという手順になります。 例えるなら、ブログ型は「木を植えていたらいつの間にか森になりました」のイメージ、完結型は「森を作るために木を植える」のイメージです。
つまり、1番のブログ型は、日々ネタを探し、自分の関連するコンテンツを投稿するボトムアップ方式。対して2番目の完結型は、あらかじめ最初からゴールとなるサイト全体像を設計しておき、それにしたがってコンテンツを書いていくトップダウンの方式です。
完結型サイトの1つの例となる「ミニサイト」という方式では、下図のようなコンテンツ設計図となります。
画像引用元: 好きなテーマでミニサイトをつくって月2万円稼ぐまでのリアルな道のり | 自分らしく、楽しく。
通常のSEO上、「カテゴリ」によるサイト設計と変わりなさそうですが、「必要な記事を網羅的に、かつ出来ればコンテンツの見出しレベルまでサイト設計時に作成する」という点で違いがありそうです。
さらに、完結型サイトではある種の「UX」を意識した作りにもなるとの事。
(ブログ型と比べて)情報量が多いことはたしかにメリットですが、それらがきちんと整理され「必要な情報にいかに速くたどり着けるか」が本当に望まれていることなのです。
完結型サイトのためには、「ストック情報」が重要
本書「情報サイトでオーソリティーを目指そう!」では、コンテンツの中身を「フロー情報」と「ストック情報」とに区別します。
フロー情報とは、時間とともに価値が低下していってしまう情報。例えばトレンド記事などがこれに該当します。
対するストック記事とは、時間の経過にかかわらず、コンテンツの価値が変化しない内容をいいます。たとえば「〇〇の方法」などのHow toコンテンツは、〇〇の部分が流行に左右されない限りはストック型コンテンツとなるでしょう。
本書の基準では、フロー型とストック型を分ける時間の基準として「1年間」を1つの目安にせよとの事でした。
そして完結型サイトは、日々の投稿を前提とせず、いわゆる「作りっぱなし」の状態を目指すもの。当然、手を入れなくても価値が下がることのない「ストック情報」が大切になります。
しかし、フロー情報も工夫をすればストック情報に変化させることができるとのこと。
同じ情報が「不倫が話題になった芸能人一覧」や「謝罪会見徹底比較」いうコンテンツ中で取り上げられると、フロー情報としての価値は無くなったあとでもストック情報としてそれなりに価値を持ち続けます。 フロー情報のままコンテンツにするだけでなく、一工夫してストック情報に変換することでコンテンツの寿命をのばすことができるのです。
自分自身がユーザーの代わりに体験した「一次情報」をコンテンツに
では、ストック内容としてどんなことを書いていけばコンテンツの価値が高くなるのでしょう。
本書は「一次情報」を大切にせよ、と述べています。
一次情報とは、著者が、訪問者・ユーザの代わりに自分自身が見て、聴いて、やってみて、感じたこと。反対に二次情報とは、新聞・テレビ番組・友人知人など、他メディアを根拠にして聞いた情報のことを言います。
この点は、SEOでも「引用される立場になれ」(=被リンクを獲得できる立場になれ)とよく言われることなので、SEOにも親和性がありそうです。
最近のGoogleアルゴリズム・コアアルゴリズムアップデートの動向を鑑みても、一次情報や独自性のないコンテンツはどんどん淘汰されていっています。
たとえば、2023年のGoogleコアアルゴリズムアップデートにおいては、スクレイピング・クローリング・ハッキング・AIによって自動生成された記事や、Web上のほか記事からコピペライティングをしただけのような「コタツ記事」の存在はサイト順位下落の要因となりました。
また、一次情報はオーソリティを高める上でも重要になってくるとのこと。
信頼される人の特徴は「正しいことを言う人」ではなく「悩みや疑問に共感してくれる人」なのです。経験者にしかわからない疑問を共有することで親近感が湧き、共に解決することでユーザーの大きな信頼を獲得することができます。
参考: 著者情報はSEOに有効!外部評判のため構造化マークアップで記述すべし
SEOだけにアクセスを頼らない。リピート率を高める「ツール型」コンテンツ
オーソリティーサイトの形として、完結型と、もう一つが「ツール型」。
ツール型コンテンツとは、用語集・計算機・占い・相性診断など。訪問者に「便利さ・面白さ」を持って価値を提供するコンテンツタイプです。
ツール型の大きな魅力は、集客経路をSEO (検索流入) に頼らないこと。
完結型は更新頻度を少なくすることができますが集客は検索エンジンに頼りがちになり、ブログ型は更新によってのみ再訪問を促せます。 ツール型は単にユーザーの利便性を高めるだけでなく、少ない更新で(あるいは更新することなく)リピーターを確保できるという運営者にとって大きなメリットが有るのです。
そしてこのツール型コンテンツのメリットを増やすポイントは、何回も訪問したくなるようなツールを企画することです。
例えば「相性診断」のツールが有るとします。単に「彼との相性」を診断するだけなら一度使えば終りです。次の彼氏が見つかるまで用事がありません。 しかし、これを「今日の彼との相性」という企画にすればどうでしょう? これなら毎日使う意味が生まれますね。しかもコンテンツ自体は一旦ロジックが完成すれば更新の必要がないので「更新せずにリピーターを確保できる」というコンテンツが出来上がるのです。
SEOに依存しない、というのは大きなメリット。
しかし逆に、キーワードに応じた優れたツールを企画することができれば、ツール型コンテンツはSEOとの掛け合わせで強力な武器になるのではないでしょうか。
「ミニサイト」から始めよう。数〜数十ページのコンパクトな完結型サイトをつくる
本書では、オーソリティサイトへの手始めとして「ミニサイト」という形からスタートしよう、と提言しています。
「ミニサイト」については ミニサイトをつくって儲ける法 | 和田 亜希子 |本 | 通販 | Amazon から定義を引用します。
テーマを絞ったコンパクトサイズのコンテンツで、訪問者のニーズをがっちり満たす「ミニサイト」。“完結型”のため、ブログのように書き続けなくてはいけないプレッシャーはありません。そして主役はテーマそのもの。書き手の個性やクリエイティビティで勝負する必要もないのです。 サイト内容と訪問者ニーズのマッチ度の高さゆえ、少ないページビューでも広告収入につなげやすいという強みもあります。オンリーワンサイトとして軌道に乗れば、放置状態でも副収入源として活躍してくれる頼もしいサイトに。 成功のポイントは「テーマ発掘力」と「企画力」。
ミニサイトの事例。大手メディアサイトに負けない、個人運営の「ほったらかし」サイト
ミニサイトの事例については「情報サイトでオーソリティーを目指そう!」、「ミニサイトをつくって儲ける法 」の両方にたくさん事例掲載があります。
「情報サイトでオーソリティーを目指そう!」で挙げられているミニサイト事例として
[事例] 東京ビアガーデン情報館 ブロガーであり「ミニサイト作り職人」の肩書でも活動されている和田亜希子氏の運営する 東京ビアガーデン情報館 というサイトです。 「東京 + ビアガーデン」のキーワードでは検索結果の1位2位を占め(2016年7月現在)、需要がピークとなる7月のアクセス数は300万ページビューを超えるという押しも押されもせぬオーソリティーサイトです。
とあります。2020年9月2日現在では 東京ビアガーデン情報館 は、私のシークレットモード検索環境では「東京 + ビアガーデン」でランキング4位。
2020年5月4日にGoogleの強アルゴリズムアップデートがあり、弱小サイトが軒並み圏外に飛ばされました。実際に1 ・ 2位は大手メディアサイト「エンジョイ東京」であることが分かります。
そんな厳しい状況下にあって、ほぼ更新作業を行っていない個人運営ミニサイト「東京ビアガーデン博物館」がビックキーワードで4位奮闘しているのは、夢がある状況ではないでしょうか。ミニサイトというだけあり、ページ数も100ページもない程度。
ミニサイトは、SEOの観点のみならず「SXO」の観点からも評価されそう
「ビアガーデン + 東京」では検索意図から、オーガニック検索順位1位より上のエリアに「Google Map」が来ており、そちらに大半のトラフィックを奪われている可能性はあります。
sかし、大手メディアのコンテンツが、記事型でランキング形式の単一コンテンツであるのに対して
東京ビアガーデン博物館はサイト形式で、ユーザが知りたい情報にわかりやすく・簡単にアクセスできるようなページ設計となっています。
多くの人はビアガーデンの雰囲気や口コミ評価なども知りたいでしょう。「東京ビアガーデン博物館」へかなりのトラフィックが流入していることがうかがえます。
また、ミニサイト形式のユーザーに優しい内部リンク設計は、SEOの観点からみても非常にプラス。
さらにSEOのみならず、 「SXO」(Search Experience Optimization = 検索体験の最適化)の観点からも、良いものと評価されそうです。
他のミニサイト事例では、 せんべろnet | 立ち飲み、居酒屋、安く楽しむせんべろ飲み歩き情報 がありますね。
「エリア×ジャンルで検索」という機能がTOPページにあることが特徴的です。
(ただし現在で1,600を超す投稿数となっていますので、最早ミニサイトとは呼べないかもしれません)
ミニサイトを作る方法。完結型またはツール型で作る
ミニサイトでは、まずメインコンテンツを「完結型」「ツール型」「完結型+ツール型」のいずれかで構成することから始めます。
先程の2つのミニサイトの例を上げると、「東京ビアガーデン情報館」は完結型、 せんべろnet | 立ち飲み、居酒屋、安く楽しむせんべろ飲み歩き情報 は「完結型 + ツール型」のサイトであると言えるでしょう。
サイト企画の方法としては、すごくニッチな「まとめ雑誌」。あるいはコンパクトな「辞書」をイメージすると、企画を作りやすくなるのではと解釈しました。
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