サイト制作やweb開発など、多くのプロジェクトを抱えていると、どうしてもプロジェクト管理ツールが欲しくなってきます。
単純な予定だけであるならばタスク管理ツールでも良いのですが、複数のプロジェクトが同時並行で走っていると、日々のタスクをこなすだけではだんだんと不安に…!
- あのプロジェクト、他にやるべきことなかったっけ…?
- 〆切だけはなんとか意識できているんだけど、その〆切までの作業をいまいち分解できていない…
などなど。
これまで、私は基本的にはタスク管理ふくめ全てカレンダー(Fantastical)のみで切り抜けてきました…!
が、並行して動くプロジェクトが10を超えてくると流石に限界です。
具体的には以下のようなやりたいこと、機能面での要求が出てきました。
- プロジェクト全体から工程、タスクを分解し、マイルストーンを置いて管理したい
- ガントチャートがあるとベター
- プロジェクトを横断して管理したい
たとえば、プロジェクトにかかわらず”今日自分がやること”を抽出したい - 動作が軽快であること
- カレンダーと連携、あるいはカレンダービューを含むもの
上記要件を満たしつつ、個人利用・フリーランスでもコスパよく十分に利用できそうなプロジェクト管理ツールを調べてみました。以下にまとめます。
目次
フリーランス・起業家向け無料のプロジェクト管理ツール"Quire"
クワイアと読みます。 フリーランスや起業家、小規模のチーム向けに開発されたプロジェクト管理ツールのようです。
参考: 工数管理もできるプロジェクト管理ツールを探しているところ Some Days You Get the Bear
本ページにある7つ全てのプロジェクト管理ツールを試した結果、私はQuireをプロジェクト管理ツールとして利用することになりました。
採用して2週間以上経ちますが、全く問題なく非常に快適に利用できています。
※ 2021年11月10日現在、カンバン形式でのタスク・プロジェクト管理ツール"Trello"に移行しました(後述)
Quireの特徴。インデントするだけで簡単にサブタスク化
タスクを階層化して管理でき、ガントチャートも生成される。プロジェクトも作成可能。
いわゆる"サブタスク"をインデントすることで直感的に作成・表示させることができる。
Wikiやマークダウンを書いているような感覚でタスクを次々と足していける 極めてシンプルな構成。
Quireの良いところ
・動作がめちゃくちゃ軽快。
・リスト・カンバン・ガントチャート(Timeline)を瞬時に切り替え可能。キーボードショートカットでも切り替えができる。
・カンバンはタスクごとのステータスによって段階を管理できる。
初期状態でのステータスはTo-Do, In Progress, Completedの3つ。 ステータス名の変更、ステータス段階の追加・削除が可能。
・プロジェクトを横断して、My Tasks画面で自分のタスクを一覧表示させることができる。
・タスクを自分自身に割り当てずとも、自分のタスクとして一覧表示できる。
作成したタスクを自動的に自分自身に割り当てる設定も可能。
Settings > Options > Project Preferences > Misc > "Automatically assign new tasks to myself" にチェック
・各タスクに紐付いくプロジェクト名も一覧画面の中で出力され、見通しがよい
・初期状態でサブタスクも一覧の形で表示できる。
Settings > Options > Project Preferences > Misc > "Collapse all subtasks by default" にチェック
・ダークテーマがある
Settings > Options > Basics > Theme で "Monochrome Dark"を選択。
・キーボードショートカットやキーボードによる操作方法が豊富
Quireで私がよく使うキーボードショートカット一覧を下の記事でまとめました。
タスク・プロジェクト管理ツールQuireでよく使う便利なキーボードショートカットまとめ | まほウェブ
Quireの使いこなしにぜひ。
・"Overview"画面で自分が処理したタスクの割合など、達成度合いをダッシュボード形式で確認できる
・プロジェクトごとに外部メンバーを招待できる
・(ある程度) 日本語に対応している
・いまのところ完全無料(!) というより、有料プランの価格帯を準備しているところらしい。
将来にわたって、Quireで無料で使えるデータ保持範囲は下記のとおり。
- 35組織
- 80プロジェクト
- 1組織につき30人のメンバー
参考: Quire Pricing
・Mac・iOS, Android対応アプリがある iOS: Quire: Unfold Your Ideas on the App Store
M1チップMacbookならデスクトップアプリとしても動作します。 Google Play: Quire: Unfold Your Ideas Apps on Google Play
・APIを公開している(!)
Quire API | Documentation 外部アプリと連携させることが可能なサードパーティ製"Apps"が公開されている Quire App Directory
APIに基づき、外部の開発者によって作成されたサードパーティ製アプリ。 たとえば、Google Calendarと同期させたり、Google Driveから直接ファイルを選択できるようにしたり、他にもGmail連携、Slack連携など様々な連携Appsがある。
・CSV, JSON形式でインポート, エクスポートが可能。
・タスクのテキストコピー・ペースト時の挙動が秀逸
下記のような感想がありました。
複数行テキストを貼り付けたらちゃんと1行1タスクとして認識してくれるので、一気にダダーっと追加できる。 逆にhttp://quire.ioで複数選択したタスクをコピーして、テキストエディタに貼り付けてもちゃんと複数タスクを1行ごとに分けて貼り付けしてくれる。ナイス。
複数行テキストを貼り付けたらちゃんと1行1タスクとして認識してくれるので、一気にダダーっと追加できる。
— gatya45 (@gatya45) September 10, 2019
逆にhttps://t.co/26OmxjrKBmで複数選択したタスクをコピーして、テキストエディタに貼り付けてもちゃんと複数タスクを1行ごとに分けて貼り付けしてくれる。ナイス。
Quireの弱いところ
工数管理はできない。
期限は設定できるが、時間見積もりや掛かった時間を記録する機能はない。
1つのタスクに複数のメンバーを割り当てることは不可。基本的には個人用向けのプロジェクト管理ツールか。
ただし、外部メンバーを招待してタスクに割り当てたりと、メンバー自体は柔軟な紐付けが可能。
タスク期日を変更してもソートが即時反映されない。
並び替えには一旦、画面リフレッシュ (更新) が必要。
プロジェクト横断のタスク一覧画面(My Task)で、特定のタスクを他タスクのサブタスク化をさせることはできない。
一旦、該当のプロジェクト画面へ移動したうえでサブタスク化させる必要がある。
同画面で、タスクが紐付けられているプロジェクトを別のプロジェクトへ移動させることにややもたつく。いくつかクリックが必要でスムーズではない。
MyTask画面で新規タスクを追加するときにやや面倒。
※ キーボードショートカット" > " でタスクを移動させられる。この方法だと簡素化されるため、ショートカット推奨。
シンプルな分、人によっては無骨なデザインと感じるかも?好みは別れそう。
オールインワン型プロジェクト管理ツール"Asana"
Manage your team’s work, projects, & tasks online • Asana
言わずと知れた、"何でもできる" と噂のオールインワン型のプロジェクト管理ツールです。
プロジェクト管理ツール求められる一般的な機能は網羅されており、大人数チームでの運用や、大規模開発の際に使われているイメージです。
最初はQuireの存在を知らず、2,3日ほどAsanaの無料プランを使ってみていました。
基本的に不足する機能は全くありません。特に有料プラン(¥1,200〜/月)を契約すれば、プロジェクト管理ツールに求められるすべての機能が備わっているものと思われます。
逆の言い方をすれば、Asanaにない機能は他のSaaS型プロジェクト管理ツールにもないのでは、と思えるほど。
少しもっさりと感じる速度と、詳細な設定ができるゆえにクリック数が多くなってしまうのが玉にキズ。
機能面の包括さを求めるなら個人ユースでもAsanaも十分選択肢に入るでしょう。
Asanaの特徴
- 「何でもできる」プロジェクト管理ツール
- 基本的には大人数・大規模でのプロジェクト向けと思われる
Asanaの良いところ
UIが直感的 もちろんガントチャート表示も可能(タイムライン表示)だが、有料プランの契約が必要。
マイルストーンも設置できる。 プロジェクトを横断して、各人のタスクを表示できる。
※ ただし、タスクがその人物に割り当てられている必要がある。一人で利用する場合も自分自身を割り当てる必要があり、そのワンアクションは面倒。
各タスクにサブタスクを作成可能。ただしサブタスクはタスク一覧では表示されず、親タスクをクリックして表示させる必要あり。
各プロジェクトにカラーやアイコンを設定できる。
工数管理もできる。 asana で工数管理したい Some Days You Get the Bear
Google Calendarなど、外部アプリと連携可能。 iOS, Android, Apple Watch, Window, Mac版それぞれにアプリ・デスクトップアプリがある。
無料である程度のことができ、有料プランも1,200円〜/月と良心的。 Asana 料金
ただし、利用しているユーザーの声をきくと、Asanaの本当の良さを発揮させるためには有料プランの契約は必須らしい。
Asanaの弱いところ
動作が遅い(重たい)らしい?
実際に触ってみてしばらく試してみたところ、たしかにもっさりしている
高機能な分、画面の要素が多くややごちゃごちゃして見える
小規模チームのためのタスク・プロジェクト管理ツール"Wrike"
チームのためのプロジェクト管理ツール、"Wrike"。サクサクとした動作に加えて、「工数管理」「工数記録」ができることが特徴。
ただし、工数管理・記録を行うためには有料プランを契約する必要があります。
料金課金がユーザー数5人単位であり、個人利用には適さないことから断念。
個人利用には適しませんでしたが、小規模・中規模チームには非常に良いプロジェクト管理・タスク管理ツールなのではないでしょうか。
Wrikeの特徴・所感
- 日本語にも対応
- 小規模チーム向けのプロジェクト管理ツール。
- 工数記録ができる。
- めちゃくちゃ理想的なのだけど、課金が"ユーザー5人単位"
- 1ユーザーあたりは9.8$〜/月だが、5ユーザー単位のため実際は69$〜/月となる。
プロジェクト管理ツールwrikeを1ヶ月試してみた結果、最高のツールであることが判明 | ウェブシュギ
国産プロジェクト管理ツールの定番"Backlog"
タスク管理、ファイル共有もできるプロジェクト管理ツールBacklog
福岡に本拠を置く世界的企業のnulab社が開発。オンライン作図ツール"Cacoo"でも有名。
backlogの特徴・印象
Web制作・Web開発の領域で特に導入が多い印象。
料金がやや高額…? プランと料金 | backlog
有料プランは月額2,460円(税込)〜。それでも5プロジェクトまでなのは少しキツい。
速度はAsanaより少し速い程度
個人的な感想として、UIがあまり直感的ではない気がする
複数メンバーでの利用が前提。チーム・会社として導入する分には良いかも。 プロジェクト横断検索ができない?(らしい)
自分に割り当てられたイシュー(タスク)の一覧はダッシュボードから確認できます。
オンプレミス型の無料OSSプロジェクト管理ソフトウェア"Redmine"
無料で使えるbacklogのようなプロジェクト管理ツールとして、しばしば"Redmine"が挙げられます。
- OSS(オープンソースソフトウェア)でのプロジェクト管理ソフトウェア。無料。
- 自分自身でサーバーを用意し、サーバー上にインストールするオンプレミス型。
- そのため、定期的なアップデートと保守が必要。
上記のような理由から、個人利用としては導入・保守コストが大きすぎるためRedmindは導入を見送りました。
GTDに基づくタスク管理ツール "Nozbe Personal"
今回は個人利用ということで、Nozbe Teamsの方ではないので注意。
GTDに基づくタスク管理ツール。プロジェクト管理というより、タスク管理が前面に出ている。
工数記録、工数見積もできる。
ガントチャートはなく、プロジェクト管理はしづらい印象。
カンバン形式による美しいUIでプロジェクト管理 "Trello"
カンバンをメインビューとしたシンプルで高速なツール。UIが美しい。
最近、ガントチャートビューやリストビューも実装された。
Trelloが大幅に機能を刷新! アトラシアン式ガントチャートとは? – INTERNET Watch
エンジニアが使いたがるような風潮があったらしいが、近年はビジネス系ユーザーも増えていている。
それぞれプロジェクトごとにカンバンを作ることが可能。
ただし、プロジェクト横断検索・プロジェクトを横断しての自己タスク表示ができない。 → "ボード"の横断表示は不可だが、1つのボード上に全てのプロジェクトを「ラベル」として紐付けることで全プロジェクトのタスク管理が可能。
※ 2021年11月10日 個人用タスク管理・プロジェクト管理ツールをQuireからTrelloに切り替えました。詳細はPodcastからお聞きください。
Podcast:タスク管理はTrelloで俯瞰!罪悪感のないタスク管理・プロジェクト管理ツール
データベースツールをプロジェクト管理に。"Airtable"
Airtable | Create apps that perfectly fit your team’s needs
SpreadSheetライクなNo-Codeデータベースツール。
自分自身のプロジェクト管理ビューを作ることができる。
テンプレートをAirtable公式からダウンロード可能。いくつかのテンプレートが存在。
Project Tracker Template Free to Use | Airtable
ただし、本来はプロジェクト管理ではなく単なるスプレッドシート、データベースなのでプロジェクト管理用として特化しているわけではない。
プロジェクト横断管理ができない。
おわりに。プロジェクト管理ツールは実際に触ってみて確かめることが大切
AsanaからQuireへ移行した際に気づいたのですが、サブタスク機能は意外とよく使います。
あるタスクを行う際に、タスクが大きすぎて動けないときに分解して考えることは多いです。Quireのように、インデントするだけでサブタスクが気軽に追加できることは大きなアドバンテージでした。
私はQuireを選択しましたが、プロジェクト管理ツールは色々と実際に触って試してみることが大切だなと思いました。 実際、Quireへ決定するまで上記の7ツール全てを一旦操作して試してみました。
面倒だなぁ…と思う方もいるかもしれませんが、プロジェクト管理ツールは長い付き合いになるうえ、プロジェクトを自分の頭の中から置いておき、整理しておくという、いわば"頭の中の拡張"にもなるツールです。
決定するまではある程度迷いながら、選定していくことをオススメします。
そのうえで、万人にフィットするツールはありません。"自分にとって" 最適なツールを探っていくようにしましょう。
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