最近、メールマーケティングに興味があり、中でもシナリオにもとづく自動配信により、見込み客の教育・育成ができる “ステップメール”なる手法を調べていました。
下記の本のまとめとして、本投稿を書いていきます。
ステップメール17の秘訣: 開封率58.0%成約率18.8%圧倒的なセールスを自動化できる! | 小川善太郎 | ダイレクト・マーケティング | Kindleストア | Amazon
目次
ステップメールとは
メールマーケティング手法の1つ。 商品購入やメールアドレス登録など、顧客のアクションを起点として 配信の日時や順番を定めた"シナリオ"に基づいき 自動的に複数回、異なる内容が送信されていく一連のメール送信のこと。
メルマガとステップメールの違い
メルマガ(メールマガジン)とステップメール、どちらも顧客に対して送信するという点では同じです。 では、何が異なるのでしょうか。
ステップメールは、顧客が求める情報を適切なタイミングで送信するのが特徴です。それに対し、メルマガは運営者が送りたい最新情報などを多くの顧客に向けて継続的に送るのが特徴です。
ステップメールとは?メリット・デメリットから活用法までをご紹介 | メール配信システムのアララ
ポイントとしては、メルマガは"自社都合でのタイミング"、ステップメールでは"顧客視点でのタイミング" という"配信タイミングの違い" があるようです。
またメルマガは基本的には終わりがなく、お知らせするような出来事がある度に配信するという側面があります。
他方、ステップメールには"終わり"があります。シナリオと呼ばれる特定のフローを設定し、その一連の内容を購読者に対して設定したタイミングで自動送信します。
シナリオ内で設定した最終段階を過ぎると、そこでステップメールは配信終了となります。
(もちろん、メールアドレス自体は保持できますので必要な場合は再利用することが可能です)
ステップメール最大の特徴は"自動化"できること
上記のメルマガとの違いから分かるとおり、ステップメールの最大の利点は、一度シナリオを設定してしまえば後は"自動化"できることです。
もちろん、より高いCV率を得るために最適化していく必要はありますが、通常のメルマガと違って、一度内容を決めてしまえば新しく作り直す必要はありません。
本書"ステップメール17の秘訣"でも、自動化の恩恵について真っ先に触れられていました。
ステップメールは顧客の教育ができ、結果として高いCV率を誇る
ステップメールなら、 ホームページの10倍以上の成約率を叩き出す ことができます。 ホームページ単体で商品やサービスを売る場合、もちろん単価にもよりますが、成約率が1%を超えると、それは優秀なセールスレターだと言われます。 しかし、ステップメールを使えば、成約率10%超えを実現することも珍しくないのです。
本書: ステップメール17の秘訣: 開封率58.0%成約率18.8%圧倒的なセールスを自動化できる! | 小川善太郎 | ダイレクト・マーケティング | Kindleストア | Amazon より
ステップメールのもう一つ重要な役割は、"見込み顧客の教育"です。
WebサイトからSNSやYouTubeなど、見込み顧客を教育するにも様々なチャネルが発展してきました。
しかし、メールアドレスはメールを利用している人なら"ほぼ毎日確実にチェックする"というチャネルであり、時間の経過とともに見込み顧客を教育していくには非常に親和性の高いチャネルです。
ステップメールは "繰り返し繰り返し、同じことを伝えていく" というコンセプトに基づいています。
人間は記憶や理解をするのに、一度聞いただけですぐ腹落ちするようにできていません。対面ではないwebやメール経由だと尚更です。さらっと読んで "ふーん" と感じて、終了です。
だからこそ、同じことを異なる角度や異なる言い回しで、何度も伝えていく必要があります。
また、一度に一気に說明されてしまうと、読み手・聞き手はストレスを感じるでしょう。
時間の経過とともに少しずつ教育できるステップメールは、顧客教育に適したマーケティング・チャネルであると言うことができます。
本書ではエビングハウスの忘却曲線を例にあげて、說明されていました。
(ただし、エビングハウスの忘却曲線実験では"子音・母音・子音" からなる無意味な単語を記憶の対象としており、意味のあるステップメールの例として適しているかは疑問です。)
それでも人間の記憶は薄れていくものなので、上記 "同じことを時間の経過とともに繰り返し伝えていく" ということの大切さは変わらないでしょう。
エビングハウスの忘却曲線で分かる、最適な復習のタイミング | 留こみ!
最近はLINEを活用しステップメールと同様の手法を行う、 " Lステップ " という手法も出てきています。
このあたりは普段メールをチェックしないだろう若年層や主婦層などにはLステップを利用し、ビジネスマン向けにはステップメールを利用する、という棲み分けとしても良いかもしれません。
ステップメール作成に際して最も重要なのは"ターゲティング"
興味関心がある人に対してのみセールスを行う
ステップメールで最も大事なことは何だったでしょうか? 覚えてますか? 興味関心がある人を集める、です。 ここが セールスの原理原則 です。 興味関心が低い人に売ると、押し売りになって、嫌われます。 興味関心が高い人に売ると、「教えてくれてありがとう!」と感謝されながら売れていくのです。
本書より引用。ここから以下の引用部分はすべて本書: ステップメール17の秘訣: 開封率58.0%成約率18.8%圧倒的なセールスを自動化できる! | 小川善太郎 | ダイレクト・マーケティング | Kindleストア | Amazon より
本書でいうターゲティングとは、" 購読者がどのような人か、どのような状況にあるかを細かく想像して、読者層を定める" という意味として使われているようです。
ターゲティングの方法
では、どのように購読者のターゲティングを行っていけばよいのでしょうか。 これについては私見ですが、2つの方法が考えられます。
流入経路からターゲット層を決めていく
1つは、流入経路からターゲット層を決めていく方法です。 これはすでにブログやウェブサイト、SNS, YouTubeやPodcastなどで、一定数の購読者・ファンがいる場合ですね。
この場合には、サイトやSNSにおける分析データをもとに、自身と親和性のあるターゲット層を導きだすことができるでしょう。 すでにデータがあるのですから、ゼロから考える必要はありません。
あなたとつながりのある層、あるいはその見込み層に対して、どのようなステップメールを企画していけば反応が得られるかを考え企画していくこととなります。
マーケットイン的な発想となり、読者の期待にこたえていくスタンスとなるため、大きな失敗をしにくい方法となるでしょう。 この場合、販売商品そのものについても既にいる購読者層に合わせて企画・カスタマイズしていく必要があります。
販売したい商品からターゲット層を決めていく
2つ目は、販売したい商品からターゲット層を決めていく方式です。
まず、あなたが提供したい商品がどのような価値や競合との差をもつかを分析。 その上で、どのようなターゲット層が本商品を購入しそうかを検討していきます。
ステップメール自体はもちろん、webサイトやブログなども「商品を売るため」の情報発信に努めます。
企画段階で実際の見込み客や購読者がいないためリスクのある方法とはなりますが、上手くいけば最短経路で売上を上げることが可能です。
この方法はプロダクト・アウト的な発想といえるでしょう。
設定したターゲット層を集める方法については触れられず
残念ながら、本書では "ではどうやって興味感心の人を集めるのか?" という点には触れられていませんでした。
顧客リストに関しては自分で創意工夫をして集めていくしかないでしょう。 たとえばブログやWebサイト、Google広告、SNS、YouTubeなど、現在では数多くのチャネルが存在しています。
オフラインの顧客接点をお持ちの方は、オフラインでの獲得も検討しましょう。
対面での獲得のほうが開封率・購読率が高くなることが予測されます。
(リスト購入は個人的にはオススメしません。同意のない購読は、開封率や継続率が非常に低くなるためです。)
またここで定めたターゲット層に対して、一貫性のあるメッセージを伝えていく、ということも大切だと説かれていました。
ステップメール購読者の中でさらにターゲティングを行う事例
これは私の事例なのですが、「私の商品に興味がある方はこのアンケートに回答してください」とアンケートをお願いしました。そして、その人だけ、別のメルマガに分岐させました。 そして、その人にだけ特別な提案をすることにしたのです。(これはメルマガ配信システムで、クリック分岐機能、アンケート作成機能を使えばカンタンに実現できます。) 「売ってくれてありがとう!」と感謝されるようなセールスにこだわることにしたのです。クレームやトラブルの種は作るのは嫌でしたし、そういう可能性がある人には売りたくありませんでした
このように、メルマガ配信スタンドの分岐機能を使えば、さらなるセグメンテーションが可能となります。著者は、その"特別な提案"を以下のように実施したとのこと。
アンケートを書いた人にだけ、しっかりとセールスをしました。しかも期間限定の割引クーポンを付けて好条件でセールスをしました。つまり、特別待遇をしたのです。 すると、3万円の商品を成約率10%で販売することができました。 あとは、納得して買われたのでアフターフォローもしやすく、商品の満足度も高く、喜びの声が集まってくるので、それを興味が薄かった人も含めた、全体メルマガで紹介していきました。 この狙いは「あ、やっぱ自分も買っとけばよかったのかもな!」と、ちょっとイヤラシイかもしれませんが、買わなかった人にも意図的に思わせることです。 「アンケートに回答した人にだけ、メールを送ったのですが・・・」と、一言説明しておけば、「なぜ自分にはセールスしなかったんだ!(怒)」というクレームも防げます。 興味ないということだったので、メールを送ってなかったんですよ、というメッセージですね。 こういう売り方をしているとあとから、「忙しくてアンケートを書けなかったのですが、私にも売ってくれませんか?」というメールが届いたりもしました。
"人間は損失を過大に評価する" という行動心理学の側面を利用した方法ですね。
時間や人を限定し、そのときに購入したお客様の声を記載することで " 注文しておけばよかった!" と後悔させる方法です。
もちろん、主題としては" いかに納得して買ってくれる層を見つけるか" というセグメンテーションが主となっているようです。
セールスの宣言と解除のリマインドで信頼関係を維持する
ステップメール登録時または最初のメールでセールスの宣言を行う
全体の設計が非常に重要になのです。 たとえば、ステップメール内でセールスをする場合は、必ずセールスすることを最初に宣言しておくこと
親切なふりをしておいていきなり売り込みモードになったら、潜在意識がアヤシイと壁を作ります。 赤ずきんに出てくる狼みたいな感じで、なんかアヤシイな、と思われるのです。 「あ~結局あなたが売りたいから親切なふりをしていたのね。」と思われたらその瞬間ブランディングは崩壊。 あなたの信頼は地に落ちてしまいます。
いきなりのセールスは、多くの場合嫌われてしまうもの。
いくらステップメールで見込み客を教育していても、売り込みモードになった瞬間から見込み客は身構えてしまうでしょう。
そうならないためにも、メールを登録する段階、あるいは第一通のメールでセールスを行うことを宣言しておくと良いとのことです。
ステップメールの解除を促すことでセグメンテーションと信頼維持
ステップメールの解除を促すのも1つの決断です。 読み続けるか、解除するかの選択をさせるわけです。 「必要ないと思われたらこちらから解除してくださいね」と伝えることで、解除する人はするし、解除しない人は「自分は必要だから読みたい」と思ってもらえるわけです。
ここで、一度解除したら二度と登録できないので気をつけてください、とか、読者限定のプレゼントが受け取れなくなるので注意してください、などと言われるとイヤらしくなりますよね。 解除させたくない、という思いが全面に出ているからです。 どんどん信頼を失う行為です
具体的には、下記のような文面を記載すると良いとしています。
「このステップメールでは●●を伝えていきます。不要だと思ったらいつでも解除できます。時間は貴重ですから自分の時間に価値があるかどうかをご自身でご判断ください。
万人に好かれるのは不可能なのです。 私たちができることは、私たちの価値観を分かりやすく提示すること、目指している未来のイメージを分かりやすく提示すること、悩みの真の問題点を分かりやすく提示すること、以外にありません。 その上で不要だと思う相手には絶対にセールスしてはいけないのです。
そのとおりですね。全ての人に向けたメッセージを送るのではなく、あなた自身やあなたの商品・サービスを必要としてくれる人に注力してセールスを行っていきましょう。
ステップメールでは "コミュニケーション" を意識する
ステップメールで購読者とコミュニケーションをするには、文中で"質問"を投げかける
セールスで大事なのはしっかりと話を聞くことなのですが、メルマガだと一方的な売り込みに終始してしまいがちです。 大事なのは、双方向のコミュニケーションを意識することです。 簡単なテクニックとしては 「分からない点があれば質問してくださいね。」 「ここまでは理解できましたか?」 と丁寧に確認しながらステップメールを進めていくといいです。 人の脳は問いかけられると必ず答えを考える習性がありますので、問いを投げかけるだけでも実質的なコミュニケーションが生まれます。
特に、1通目、2通目、3通目、で相手とのコミュニケーションが生まれていなければ、4通目以降のメールはすべてムダになってしまいますので、ステップメールの序盤が肝心
ステップメールでのコミュニケーションというとなかなか難しいものがありますが、少なくとも"コミュニケーションをとろうとしている姿勢" を見せることが大切になってくるようです。
ちなみに、私は悩みについて聞く時はこの3点を質問します。 ・なぜ悩んでいるのか ・その問題を解決するために試みている事は何か ・なぜ思い通りに解決できないと思うのか この3つの質問をすれば、その方の悩みの根源が見えてきます。
上記の3点の質問を、ステップメールの序盤で行うと良いのかもしれません。また、1通目のメールには下記の質問を含めると、購読者からの反応を得やすいようです。
私の経験上、ステップメールの1通目にアンケートで下記の質問をすると、読者の本音を引き出すのに効果的でした。 ・いま直面している悩みは何か ・このステップメールに期待することは何か ・このステップメールが終わるころにどうなっていたら最高か この3つの質問をすると本音を集めやすいのでおすすめです。 読者の悩みを知ることで、ステップメールの構成も変わりますし、セールスの仕方も変わります。 まずは読者の悩みに耳を傾けて、問題の根源を明らかに
質問の回答を集める方法ですが、メールから直接返信してもらうよりも、別途アンケートフォームを作成し、メールからリンクなどでジャンプさせて返信してもらう方が回答率が高くなるようです。
テクニックの話ですが、ステップメール読者からのコメントを集める際に、メール本文から返信してもらうよりも、アンケートフォームを作成したほうが圧倒的に高い反応率が得られます。
アンケートでスモールステップを踏ませ、コンバージョン率を高める
読者の意思を確認するために、クリックアンケートはとても有効な方法です。 ステップメールの本文にurlを設置して興味ある人にだけクリックしてもらったり、3択のどれか1つだけをクリックしてもらうことで、読者さんの反応を数値化することができます。 対面のセールスだと数値化することができないので感覚やセンスが必要になりますが、ステップメールでは反応率が細かく数値化できるので、ぜひともセールスプロセスの改善につなげていくために活用しましょう。 それから、クリックさせるという行動を促すことにも大きな意味があります。 なぜなら、小さな行動から行動の習慣付けができると購買行動にも移りやすくなるのです。 これは心理学的には【インキュベートの法則】 と言います。 Yesと言ったら次もYesと言いたくなるという法則ですが、習慣はものすごいパワーがあるのです。 そして、よく考えてみてほしいのですが、クリックすらしてくれない人があなたの商品を買うわけがないのです。 スモールステップを踏ませることがどれほど効果的なのか、ぜひ試してみてください。 そして、クリック率を測定して、読者の興味レベルを数値で把握してください。
上記、用語や心理学の說明に関しては間違いが多いのでご注意。
インキュベートの法則は "21日間、継続できると習慣化できる" という習慣化のお話。
インキュベートの法則はご存知ですか?~行動を習慣化できる法則~ ブログ武器 Ver.2
"Yesと言ったら次もYesと言いたくなる" というのは営業テクニックでいうところの"Yesセット"です。
これは心理学上、"一貫性の原則"に基づいて說明されています。
イエスセットとは? 相手から「イエス」を引き出す交渉術を徹底解説 |マケフリ
スモールステップを踏ませるテクニックは、"フット・イン・ザ・ドア・テクニック"と呼ばれます。
最初に小さなお願いを聞いてもらうことで、後に続く大きなお願いを聞いてもらいやすくする心理テクニックです。
こちらも心理学上の"一貫性の原則" に基づいているとされます。
フットインザドアテクニックとは? 交渉の基本テクを実践してみよう! STUDY HACKER|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア
実際、ステップメール内のみならず、スモールステップを踏ませることの効果は大きいと思います。
スモールステップに関しては、少し大きな枠組みで考えることができます。
最初のステップメールで少額の商品を購入してもらい(フロントエンド商品)、その購入者に対して続くステップメールを送り、本命の商品を購入してもらう(バックエンド商品)というフロントエンド・バックエンドの商品設計を考えることも可能です。
お客様の声をステップメール内で紹介する
あなた自身のエピソードだけではなくて、お客様のエピソードも積極的に伝えていきます。 つまり、お客様からの感想を紹介したり、メールでいただいた質問やその回答のやり取りの様子を見せる、などです。 あなたと関わることでどういう未来が手に入るかを、ありありと伝えることができますので、ぜひお客様からの感想は積極的にもらっておいてください。 リアルのビジネスでも同様です。 お客様の声はターゲティングにおいても重要な情報ですし、信頼を築くメッセージを打つためにもとても有効です。 普段からお客様の声は意識して集めておきましょう。 いくらあなたが自分の商品やサービスのメリットを訴えたとしても、ユーザーの声には敵いません。
お客様の声は最強のコンテンツだと思っています。
ただ、ここでお客様の声がないからと言って捏造するのはいけません。
お客様は賢く、敏感です。作られたレビューは必ずバレます。それこそ、信頼を損なう行為だと言えます。実際の声にもとづく生の声を届けるようにしましょう。
「ステップメール17の秘訣」は、作成・運用の心構えとポイントが分かる良書
総じて、ステップメール作成・運用の心構えとポイントが分かる良書でした。
ステップメールはメールマーケティングの一手法ではありますが、マーケティングというよりセールスの側面が強いものになります。
集めた見込み客に対してステップメールで教育を行い、その中で適宜セグメンテーションを実施、購入確度が高い見込み客に対して重点的なセールスを行う。
この記事で紹介した内容以外にも、多くのステップメール運用時のポイントが書かれていました。読み口やわらかくサラッと読めるので、ステップメールに興味がある方にはおすすめできる一冊です。
ステップメール17の秘訣: 開封率58.0%成約率18.8%圧倒的なセールスを自動化できる! | 小川善太郎 | ダイレクト・マーケティング | Kindleストア | Amazon
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